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Data / 公開データ

■ペット産業未来考〜ペット産業成長の道筋を探る」
(「月刊ペット経営」2006年10月号掲載記事より)

《この記事は、2006年10月10〜13日、中国・北京で開催された「第10回中国国際ペット見本市」での「日・中合同セミナー」で野生社が講演する内容に引用するため、市場規模には中国・元換算も入れました》 野生社・編集主幹 原田 隆

■第1章 ペット産業の範囲
◇日本のペット産業の構成分野

日本のペット産業は、生体のカテゴリー別に、犬&猫、観賞魚(熱帯魚&金魚&錦鯉&海水魚)、小鳥、小動物、昆虫、爬虫類&両生類などの各関連業界によって構成されている。各業界とも独自性が強く、流通形態や商習慣も若干異なる。例えば、小売店が卸店から仕入れる場合、観賞魚や小鳥、小動物、爬虫類&両生類、昆虫などの業界では、生体も、フードと用品も1ヵ所の卸店で仕入れることができるが、犬や猫の業界では、フードと用品は卸店から、生体は犬&猫の生体オークションやブリーダーからと、別個の仕入ルートになる。

各業界とも基本的には、小売、卸、生体オークションなどの流通業、養殖・繁殖業(ブリーダー)、製造業(メーカー)、サービス業で構成されている。

この中でも、日本独自の流通システムとして発展してきたのが生体オークションといえよう。生体オークションで最も歴史が古いのは金魚と錦鯉だが、それが小鳥から犬&猫に波及し、現在では犬&猫のオークションが最も活況を呈している。

犬&猫オークションが成立する以前の犬や猫の仕入れは、小売店が個人ブリーダーから仕入れる形態が主流だったが、個人ブリーダーからの仕入れは品種や匹数の面で制約が多く、希望の犬種と匹数を揃えるためには余ほどブリーダー事情に精通していないと難しい面があり、仕入れルートが多岐にわたるので取引面での煩雑さもあった。その点、犬&猫オークションでは、希望犬種、希望匹数を1ヵ所で仕入れることができるので、生体の新しい流通システムとして定着してきた。現在日本には、全国的に著名な犬&猫オークションが東京、横浜、静岡、名古屋、大阪、神戸などの大都市周辺に約10ヵ所開設している。近年は、韓国、中国でも犬&猫オークションが開催されている。

日本のペット産業の中で最も市場規模が大きいのは犬&猫関連業界であり、犬&猫市場は、生体、フード、用品などの物販カテゴリーと、サービスを対価とするサービスカテゴリーで構成される。犬&猫市場で近年特に注目されるのは、サービスカテゴリーの裾野の広がりである。動物病院を筆頭に、美容(グルーミング、トリミング)、ペットホテル(宿泊、一時預かり)、訓練・しつけ教室、葬祭、ペット技能者養成、ペットテーマパーク・ドッグラン、犬&猫レンタル、ペット保険、ペットシッター(飼い主が留守の時の散歩やケアの代行)、幼・老齢ペットのケアサービス、ドッグカフェなどまさに全山咲き匂う感がある。また、最近では、ペットのアロマテラピー、マッサージ、温灸などのサービスが出てきており、健康に関連するサービスが細分化されていることが注目される。

 
■第2章 日本のペット産業及び世界のペット産業の市場規模(小売ベース)

野生社が昨年後半から今年5月にかけて実施したアンケート等に基づいて試算した2005年における日本のペット市場規模は以下の通りである。
※( )内は、9月5日の為替レート:1USドル117.9円、1元14.7円で換算

■ 2005年ペット市場総額
1兆2537億1000万円(106億3367万ドル、852億8639万元)

◇生体カテゴリー別市場とサービス市場の規模及びシェア

・犬関連市場
 3997億3000万円(33億9042万ドル、271億9252万元、31.88%)

・猫関連市場
 2082億8000万円(17億6658万ドル、141億6871万元、16.61%)

・観賞魚関連市場
 611億3000万円(5億1849万ドル、41億5850万元、4.88%)

・小鳥関連市場
 94億4000万円(8007万ドル、6億4218万元、0.75%)

・小動物関連市場
 118億円(1億8万ドル、8億272万元、0.94%)

・爬虫類・両生類市場
 44億2000万円(3749万ドル、3億68万元、0.35%)

・昆虫関連市場
 51億8000万円(4394万ドル、3億5238万元、0.41%)

・その他生体関連市場(水草、甲殻類、無脊椎など)
 109億5000万円(9288万ドル、7億4490万元、0.87%)

・サービス関連市場(通販、水槽レンタル含む)
 5427億8000万円(46億373万ドル、369億2381万元、43.29%)

【合計】
 1兆2537億1000万円(106億3367万ドル、852億8639万元、100.00%)

 なお、さらに細分化した市場規模試算については、野生社が10月30日に発行する「ペットデータ年鑑2006年版」に掲載しております。この本の購読を希望する方は、http://www.yaseisha.comに掲載されている「ペットデータ年鑑2006年版」申込フォーマットでお申込ください。

 比較・参考までに、野生社が1997年に実施した「97年 日本ペット産業の市場規模」試算をあげる。
市場規模総額で比較すると、1997年の6571億4100万円(55億7372万ドル、447億347万元)に対し、2005年は1兆2537億1000万円(106億3367万ドル、852億8639万元)ほぼ2倍に拡大している。中でもサービス分野の伸張が著しい。

■ 1997年 日本のペット産業市場規模(小売ベース)
※( )内は、2006年9月5日の為替レート:1USドル117.9円、1元14.7円で換算

◇ペット市場総額
 6571億4100万円(55億7372万ドル、447億347万元)

◇生体カテゴリー別市場とシェア
※犬猫関連市場には、診療、美容、葬祭、訓練含む

・犬猫関連市場
 3499億8350万円(29億6848万円、238億840元 53.2%)

・観賞魚関連市場
 1942億6000万円(16億4767万$、132億1497万元 29.6%)

・小動物関連市場
 412.907億円(3億5022万$ 28億889万元 6.3%)

・小鳥関連市場
 390.294億円(3億3104万$ 26億5506万円 5.9%)

・爬虫類・両生類市場
 188.214億円(1億5964万$ 12億8037万円 2.9%)

・昆虫関連市場
 132.17億円(1億1210 8億9912万円 2%)

 参考までに、厚生労働省による畜犬登録数を挙げると、1997年は513万7331匹、2004年は639万4220匹で、2004年は1997年に対し24.5%増加している。

■世界のフード&用品市場規模(Source:Euromonitor International)
※1ユーロ143.6円、1USドル117.9円、1元14.7円で換算

次に、西暦気数年ごとにドイツで開催される世界最大規模のペット用品及びフードのトレードショー「インターズー」で発表されている世界のフード&用品市場規模を以下に挙げる。なお、この市場には、生体及び関連サービスの数字が含まれていないことをお断りしておく。

◇2003年 全世界のフード&用品市場規模
 430億5000万ユーロ(6兆1820億円、525億3427万ドル、4205億4422万元)

◇2003年 地域別フード&用品市場規模
 ヨーロッパ:170億ユーロ(2兆4412億円、207億568万ドル、1660億6803万元) アメリカ(USA):160億7000万ユーロ(2兆3077億円、195億7337万ドル、1569億8639万元) その他の地域:99億8000万ユーロ(1兆4331億円、121億5522万ドル、974億8980万元)

◇1999年 欧米の犬飼育数 アメリカ(USA)5850万匹 フランス810万匹 イギリス670万匹 イタリア630万匹 ドイツ520万匹

◇2005年 全世界のフード&用品市場規模
 440億ユーロ(6兆3184億円、535億9118万ドル、4298億2313万元)

◇2005年 地域別市場規模
 ヨーロッパ:175億ユーロ(2兆5130億円、213億1467万ドル、1709億5238万元) アメリカ(USA):170億ユーロ(2兆4412億円、207億568万ドル、1660億6803万元) アジア:66億ユーロ(9477億6000万円、80億3868万ドル、644億7347万元)

 
■第3章 ペット産業成長の要因

 ペットは話題性が高いこともあり、日本のテレビ、新聞などのマスコミでは、毎年のように「ペットブーム」という言葉が使われて報道されている。これらの報道は、興味本位の内容、或いはまじめな報道内容のものでもペット産業に関する現状認識が不足していると思われるものが多い。確かに、ペット産業が成長してきた経緯、そして今後も成長拡大が予想される点では、「毎年がペットブーム」といっても差し支えないかもしれないが、長年ペット産業とともに歩んできた者としては、一過性のイメージが強いブームという言葉には若干の違和感も持っている。ペット産業は社会的ニーズによって定着したと認識しているからだ。
 ペット飼養の動機には、飼養者それぞれに微妙な違いが挙げられているが、飼養動物に対する意識が大きく変化している点では共通している。すなわち、ペットの位置付けが「愛玩動物」から「家族の一員、コンパニオンアニマル」として認識されるようになったことである。外見的な関係からより内面的な関係を求める意識変化がペット産業成長の最大の要因と思われる。
 ペットの外見上の魅力はもちろんだが、近年重視されているのはペットが人にもたらす心の浄化作用、癒し作用(ヒーリング効果)といった内面的効用である。特に、精神障害(自閉症やうつ病など)に対する動物介在精神療法(アニマル・アシステッド・セラピー)研究が進んでおり、その効果が欧米の学界などから多く発表されている。
 一例として、かつて、自傷行為、閉じこもり、対人恐怖に陥り、夫や子供すら受け付けない時期が4ヶ月以上も続いた日本人女性が犬によって救われたという体験談を紹介する。
「犬は私を焦らすことは一切しません。部屋から出ろとも言わないし、出た時には付き合ってくれる。人間は、まだ出てこない、大丈夫かと心配するが、これが煩わしい時があります。犬は出てくるまで待ってくれる。そろそろ散歩に行かなければいけないね、という意志が働いたところから私は回復しました。その犬になにか恩返しをと思って始めたのが犬保護活動(ボランティア)です。年に1回、施設の子供たちを招待して犬と一緒に遊ぶ催しをしているが、犬に触ったこともない子も多いので、最初は恐いといって泣く子もいます。しかし、1時間すると心から楽しみ、心から笑う。その笑顔がとても輝いています」
 社会の精神的病巣が進行すればするほど、ペット産業が成長するという皮肉な一面があることも事実のようだ。
 ペットを介在としたこれらの効用が社会的にも認知されることに伴い、ペットとの共生をセールスポイントにしたマンションなど集合住宅が増加し、公営の住宅でも飼育規制緩和する傾向にあることなどが成長を後押しする要因になっている。

※以下省略(ペット経営をご覧ください)

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